これまで色々な経験をしてきて、産業保健師に憧れていたけど紆余曲折を経て現在企業内診療所看護師として働いているビビです。
産業保健師の仕事も継続していますが、せっかくなのでここでは企業内診療所で働いてみて、一般のクリニックとの違いや特徴について記録していきたいと思います。
企業内診療所の仕事内容は?
企業内診療所、場所によっては企業内医務室、健康管理室などが設置されている企業がありますが、仕事内容はその企業によってさまざまです。
ここでは参考までに私が携わっている業務についてまとめました。
外来診療の補助・検査
私の勤めていいる診療所では曜日時間帯のスポットで毎週外から先生が来てくれているので、診療のある時間帯は外来診療の補助を行っています。曜日によって内科・精神科・耳鼻科などがあり、簡単な処置の介助や採血・心電図などの検査を行うこともあります。
健康診断
全体の健康診断は外部機関に委託されていますが、復職者や特殊健診が必要な人の健康診断業務を行うこともあります。
ケガ・救急対応
企業内の保健室的な役割として、社員のケガや体調不良者への対応をします。
通勤途中で転んで傷だらけになった人や得体のしれない虫に刺された、熱中症なりかけなど色々な人が来所されます。
その他にも社内のどこかで急病者が出た場合などは連絡が入り、現場へ駆けつけることもあります。
ドクターがいる時間帯もありますが、いない時間帯は看護師が対応しなくてはなりませんので、簡単な創処置だったり、救急車を呼ぶかどうかの判断や必要であれば救命処置などが必要となります。
健康管理室との連携業務
企業内に診療所の他に健康管理室があるため、健康診断の結果が悪かった人や、メンタル不調を訴えている人を健康管理室から紹介されたりもします。他にも企業の健康増進活動として行うセミナーの手伝いや救命講習等の役割を担います。企業内診療所の中には健康管理室の役割も兼ねているところもあると思いますが、どちらもうまく機能・連携することで社員の方にとってより良い環境を提供することにつながると思います。
ワクチン接種
例年はインフルエンザワクチン接種を実施しているようです。私はまだ経験がありませんが、今年はさらにコロナウィルスワクチンの職域接種を行っています。うっかりメインで動くことになってしまいとても大変です。でもワクチン分けていただけたのには感謝しなしといけませんね。。
その他
その他にもメール対応をしたり、企業内の講習に参加したりもしています。
企業内診療所、働き方は?
勤務時間・曜日
基本的には企業に属しているため、その企業の営業日がメインとなります。
私の勤める診療所も、会社がお休みの土日祝日は診療所もお休みです。診療時間も始業・就業時間から余裕をもって設定されているため残業はほとんどありません。
先生がいらっしゃらないコマや先生がメインの仕事の都合で休診となることもあるため、その時間帯にデスクワークも出来るので業務にはとても余裕があります。
看護師は3名体制で、診察・検査室・メール対応などをしています。正直頑張れば1人でもなんとかなるのでお休みも取りやすく、また健康管理室にも看護師・保健師が何名か勤務していますので助けてもらうことも出来ます。
シフトを組まなくて良いので土日休みを取り合うこともありませんし、夜勤・残業もないため体はすごく楽です。
平日休みが好きな人は向かないかもしれませんが、企業内診療所は大きな企業内にあることが多く、福利厚生もしっかりしているので有給休暇もしっかりとれると思いますので、総合的にはとても勤務しやすいと思います。
給料について
正社員なのか、契約社員なのか、派遣なのかで大分違うと思いますが、私は契約社員として勤務しています。
時給制で昇給や賞与も期待出来ないため、正直金銭面は満足いくものではありません。他にも仕事をしているし、夫のおかげで何とかやっていけていますが、これが独身の若い時期だったら無理だな。。と思います。前職のクリニックも決してお給料は高い方ではありませんでしたが、ボーナスもあったし、少ないけど退職金ももらえました。契約社員のままだと退職金ももらえないし、お休みの多い月はその分お給料も減りますので、将来的には不安がありますね。
正社員の方もいますが、正社員になると格段に条件が良くなるので、同じ仕事内容でこの格差・・・と思うこともありますが、ひとまずは自分で納得して働くと決めたので頑張って働いてます。
契約社員でも月給の企業や賞与があるところもありますのでそこはよく給与条件を吟味した方が良いと思います。
医療法人のクリニックと企業内診療所の違いは?
私は前職では民間のクリニックで看護師・保健師として働いていましたが、現在企業内診療所で働いてみて色々な違いを感じています。
元々わかっていたこともありましたが、働いてみて初めて分かったこともあったため、記録していきたいと思います。
出来る検査が限られている
これはクリニック・企業内診療所によるところが多いと思いますが、企業内でレントゲンやエコ―、内視鏡などが出来るところは少ないと思います。よって診療内容は健康診断の簡単な2次検査、生活習慣病jの定期処方、紹介がメインです。従来は風邪の方が多くいらしていたと思いますが、現在はコロナの影響でなかなか難しい状況です。(発熱があるとそもそも出社出来ないなど)
前職ではCTやエコー、内視鏡も出来たので、具合の悪い患者さんの診断・処置をある程度までは出来る状況でしたが、診療所では「腹痛」の主訴で来所しても対症療法的に処方をして良くならない場合は大きな病院へ、という感じなのでみていて少しもどかしい感じもします。
ただ、社内で体調不良の際にすぐに医者に診てもらえるのは大変な利点だと思いますし、社会的役割がそもそも違うと思うので、そういった違いを理解してうまく活用して頂ければと思います。
イメージと違ったところ
企業内の診療所なので社員の健康管理に対してもう少し積極的に関わっていくのかと思っていましたが、私の想像していたよりすごくたんぱくでした。
前職では、もちろん経営的な面もありますが、保健指導や栄養指導も積極的にやっていたし、先生たちもすごく熱心な人が多かったので、診察もすごく丁寧でした。私の中ではそれが”普通”と思っていて、さらに企業内になるので保健指導等もさらにしっかりと実施して密接にかかわっていくのかな、と思っていましたが、先生によっては本当に”90日分の処方をするだけ”のようなこともあります。もちろん丁寧にみてくださる先生もいます。
健康管理室も併設されていますが、そちらで指導等しているかというとそうでもなさそうです。
以前のクリニックには長いこと勤めていて、色々と自分のやりたいことも出来ていましたが、今はまだ入社したばかりですので、今後は少しずつ私自身も看護師・保健師として社員のみなさんと関わっていけるよう、関係性を築いていきたいと思います。
企業内診療所の良い点
企業内診療所は基本的に福利厚生の一環であり、営利を目的としないため、常に経営のことを考えなくても良い点は精神的ストレスが大分軽減されました。コストや集客を考えることは勉強にもなりますし、そこにやりがいを感じる方もいると思います。ただそこにこだわりすぎると本来やりたい看護・医療が出来ないといった矛盾に陥ることがあります。利益を求めた結果が患者様のニーズに合っていればそれに越したことはありませんが、すべてがそううまくいくとは限りません。それでも所詮雇われの身ですので、上が保険点数の高い検査を進める方針を打ち立てたりすればそれに従わなくてはなりません。一方、企業内診療所では毎月の経営会議もありませんし、閑古鳥が鳴いているからと言って足繁く営業に行く必要もありません。
ただだからといってぼーっとしていても仕方ないので健康管理室と協力しながら企業の人が健康に働いていけるよう、良い関係性を築いていきたいと思っています。
医療法人のクリニックはもちろんですが、企業内診療所もその診療所によって仕事内容や役割は大きく異なります。今回は私の体験を記しましたが、ほんの一部のお話だと思ってかるーく参考にしてもらえれば良いなと思います。